伊坂幸太郎「ホワイトラビット」【書評】レ・ミゼラブルをイジる!?【一部ネタバレ】





伊坂幸太郎「ホワイトラビット」を読みました!

大好きな作家の一人、伊坂幸太郎。高校生のとき読んだ「重力ピエロ」に衝撃を受け、以来全作品を読んできました。

最新作「ホワイトラビット」では、過去の作品に登場した人気キャラが複数名登場豪華出演者による“映画化”にも期待したいです。

それではできるだけネタバレしないように注意しつつ、感想を書きます。

内容紹介:「籠城物・人質立てこもり事件」の決定版を!

【内容紹介】

仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。「白兎(しろうさぎ)事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。

新潮社HP より引用

「内容紹介」にもあるように、ストーリーはほぼ最初から最後まで「籠城・人質立てこもり事件」です。

伊坂作品に比較的多い“犯罪物”。ファンなら、「お!キタ!」と期待してしまいますよね。作者自身が「あとがき」でこのように語っています。

籠城物、人質立てこもり事件の話を今までにいくつか書いてきたので、このあたりでその決定版を、と取り掛かったものの、はじめに描いていた、硬派な犯罪小説、警察と犯人との緊迫した攻防戦、といったものにはあまり、近くことができませんでした。

伊坂幸太郎「ホワイトラビット」あとがき より引用

作者が言うようにたしかに、「“硬派な”犯罪小説」ではないかもしれません。その代わり、登場人物がとても魅力的でなので、犯人に感情移入して読み進めてしまいます

内容紹介にもある「愛が交錯し」というキーワードはぴったりだと感じました!

 

新潮社HP内の「伊坂幸太郎インタビュー(対談)」もぜひ!

▼伊坂幸太郎の“籠城物”ならまずはコレ!『籠城のビール』(「終末のフール」所収)

“俯瞰した語り口”にニヤリ/過去の名作を“イジってる”!

ストーリーのドキドキもさることながら、「ホワイトラビット」で面白かったのは“俯瞰した語り口”です。

複数の“登場人物&時間軸”が交互に語られ、それぞれのストーリー(伏線)が終盤で一気につながっていく爽快感は伊坂幸太郎の魅力のひとつ。

「ホワイトラビット」も基本的にはそのスタイルで書かれているのですが、今作ではその絡み合いが“俯瞰した語り口”で綴られています。

しかもその“俯瞰した語り口”をちょっと自虐的に、いや!“イジっている”とも言えるくらいの感じで使っており、思わずニヤリ。

例えば「レ・ミゼラブル」(ヴィクトル・ユゴー著)を引き合いにして、

「あの小説って、ところどころ、変な感じですよね。急に作者が、『これは作者の特権だから、ここで話を前に戻そう』とか、『ずっとあとに出てくるはずの頁のために、ひとつ断っておかねばならない』とか、妙にしゃしゃり出てきて」

伊坂幸太郎「ホワイトラビット」 より引用

「レ・ミゼラブル」はじめ、過去の名作によくある手法をこんなにあっさりと“イジってしまう”とは、さすが伊坂幸太郎!登場人物のセリフを借りてイジるあたりにもニヤリ。

さらに畳み掛けるように、そのイジッた手法で今度は伊坂幸太郎自身がストーリーを語りだします

「すでに起きてる出来事も、時間がずれないと見えないわけだ」

「はあ」自分が思っていたのとは違う視点で、黒澤が面白がっていることに、今村は当惑したが、実は黒澤の言葉は、彼自身の意図とは無関係に、この物語自体の構造を示唆してもいる。

伊坂幸太郎「ホワイトラビット」 より引用

“作者が妙にしゃしゃり出てくる”手法を完全に使っています!この後もこの語り口が要所要所で登場し、そのたびにクスリとしてしまいます。

過去の作品から人気キャラ登場!

伊坂作品の特徴のひとつに、「これまでの作品の主要キャラが再登場orちょこっと登場」というものがあります。ファンにとっては、これを見つけ出すのも楽しみのひとつです。

「ホワイトラビット」では、過去の作品の登場人物が「主要キャラ」となっています。

黒澤

「ホワイトラビット」の主役(?)、黒澤。

彼は「ラッシュライフ」「フィッシュストーリー」「首折り男の協奏曲…など、数々の作品に主役・脇役として登場しております。

読者からも大変人気の「黒澤」。少し古いのですが、2011年に発行された「伊坂幸太郎 全小説ガイドブック」(洋泉社)内で実施された『あなたが好きなキャラクターは誰ですか』ランキングでは、堂々の第1位を獲得しています!

中村・今村・若葉

おとぼけ役の中村&今村コンビ、そして今村の彼女=若葉は『ポテチ』(「フィッシュストーリー」所収)から登場。

ネタバレになるのであまり詳しく書きませんが、中村・今村コンビがキーパーソン!?

映画化されれば過去作品の役者が勢ぞろい?

上で書いたように「ホワイトラビット」の主要キャラは過去の作品の登場人物です。

その登場人物たちを映画で演じていたのは、こちらの皆さん。

とても豪華なメンバー!!というか、ぼくの大好きな役者さんたちです。

「ホワイトラビット」が映画化されれば、またこのメンバーの共演が見れるのではないでしょうか!?期待したいです。

ちなみに映画「ポテチ」で“中村を演じた”中村義洋さんの本業は映画監督、これまで伊坂幸太郎作品を多数映画化しており、現原作ファンからも概ね好評のようです。

▼「伊坂幸太郎&中村義洋監督」コンビでぼくが特に好きな作品はコチラ

まとめ:名作をイジッた語り口が◎

伊坂幸太郎「ホワイトラビット」は、伊坂幸太郎の特徴がしっかり詰まった“伊坂幸太郎らしい”1冊です。

「伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! 」

新潮社HP より引用

この言葉がぴったりです。

これから読む方は、名作「レ・ミゼラブル」の語り口を“イジる”手法にもご注目ください!

 

 

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