【書評】朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」電車のなかで読めない本No.1





朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」を読みました。

こんなに笑いが止まらなかった本があっただろうか!?

これが本当に直木賞作家の“日常”!?

「風と共にゆとりぬ」は朝井リョウの第2段エッセイ集です。

前作「時をかけるゆとり」では朝井リョウさんの学生時代のことが書いてありましたが、

今作では社会人=兼業作家になってから、そして会社をやめて専業作家になってからの直木賞作家の“日常”が描かれています。

 

帯では

・読んで得るもの特にナシ!!

・目をみはるほどのしょうもなさ!!

・電車のなかで読めない本No.1(になる予定)

・1冊で100回笑える、腹筋崩壊エッセイ!

朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」帯 より引用

と自虐的ゆえにハードル上げまくりのキャッチコピーの数々。

 

「桐島、部活やめるってよ」でいまどきの青春群像(ドロドロした感情を含む)を切り取り、

「何者」では直木賞を受賞した、この世代を代表する作家「朝井リョウ」の

笑いが止まらない“日常”とはどんなものなのか!?

あるある!家族の間にひそむ“気まずさ”

第1部のタイトルはずばり「日常」。

「対決!レンタル彼氏」「ファッションセンス外注元年」など12編のエッセイが掲載されています。

 

なかでも腹をかかえて笑ったのが、「朝井家 in ハワイ」。

朝井リョウさんが父親の還暦を祝い、姉と共に両親にハワイ家族旅行をプレゼントしたときのお話です。

その計画がこれである。

「急な仕事で旅行に行けなくなったはずの弟が、出発当日いきなり空港に現れ、実は私も行けるんです〜ということを明かす」

うわあ……。

朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」 より引用

「サプライズを企画するのが大好き」という人は、コミュニティに必ずひとりいますよね。

そして自分がノリ気じゃなくても、そのサプライズ喜んでくれるか!?、と思っていても言い出しにくい空気感。

 

そんな気まずいシチュエーションが家族旅行で起こってしまったら!?

はっきりと「つらい。」と書きながらも家族旅行を盛り上げようと奮闘する朝井リョウさんの心の声は痛々しく、そして笑えました。

 

私も先日夏休みで家族旅行をしてきたばかりです。

もちろん楽しかったのですが、普段一緒に住んでいないと家族間の距離感を掴めない瞬間があったり。

家族旅行だからこそ「これ面白いか!?」と思いつつも言い出せない場面があったり。

そんな言葉にできないモヤモヤが「朝井家 in ハワイ」にはぎっしりびっちり詰まっています。

全力で生きるからこその失敗あり

「朝井家 in ハワイ」によってサプライズ嫌いと思われた朝井リョウさんですが、

直後のエッセイ「作家による本気の余興」においてはまったく違う姿が。

担当税理士さんの結婚式を、友人作家・柚木麻子さんと共に、「◯◯◯」で全力でサプライズお祝いしているのです。

 

……なんだそりゃ!!

 

これまでにも柚木麻子さんとダンスや作詞・作曲などをしてふざけてきたそうなのですが、

今回は結婚式で本気で歌(替え歌&ダンス付き)を披露しようというもの。

「公式にふざけたい」という欲求のもと、有名作家2人が本気で準備をする様子にはニヤニヤが止まりません。

笑えないが笑える「肛門記」

第3部「肛門期」は単行本書き下ろし。

直木賞作家・朝井リョウの「痔瘻との闘い」が描かれています。

 

朝井リョウは自らを「快便家」と名乗り、

前作「時をかけるゆとり」や今作でも数々の「便エピソード」を披露しています。

そんな快便家にとって最も深刻な悩みが発生!?

 

 

痔瘻の症状や、発症後のつらい生活が書かれているのですが……これは笑えない。

つらすぎる!!会社でも痔になった人の話を聞くことがありますが、こんなにつらいんですね。

 

しかし、そこは作家ならでは。いや朝井リョウならでは。

この章のタイトル横にはこんな記述が。

切れ痔ほどメジャーな響きもない、イボ痔ほど笑いに変えられないーーお尻の穴が増えちゃう病気、こと、痔瘻。

発症、手術、入院、そのすべてを綴った肛門界激震の一大叙情詩。

朝井リョウ「風と共にゆとりぬ」 より引用

朝井リョウにとっては笑えない、死ぬほどつらい状況を赤裸々に綴り、

読者に話題を届けてくれます。

 

私は朝井リョウと同世代なので「自分が痔瘻になったらどうしよう!?」と不安に襲われもしましたが、

どこか浮世離れした入院生活を見ると、最後には「ちょっと入院してみてもいいかな」と思ったりも。

まとめ

「桐島、部活やめるってよ」「何者」では若者の感情の奥底に潜む“ドロドロ”を切り取った朝井リョウ。

彼の手にかかれば“日常”はこんなにも面白い!!

このエッセイに描かれているのは朝井リョウのごく平凡な日々。

自分の生活に客観的に突っ込みを入れつつ、喜び・楽しみを見つけていく姿勢には、

笑いながらも学ばされました。

 

▼朝井リョウさんのエッセイ第1弾「時をかけるゆとり」はこちら

▼映画版の評価も高い「桐島、部活やめるってよ」

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